「長期から即時までの時空間地震予測とモニタリングの新展開」統計数理研究所/京都大学防災研究所/県立広島大学/静岡県立大学

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研究紹介 - SCEC 2022 (尾形)

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階層型時空間ETASと時空間ポアソン過程モデルによる日本内陸部の短・長期地震発生確率の予測・検証

要約:

異方的なクラスタリングと地域的に異なるパラメータを特徴とする多様な地震学的特徴に最適に適合するために、流行型余震列(HIST-ETAS)モデルの階層的時空間版を構築した。本論文では、この精巧なモデルを、数年にわたる最近の日本内陸地震をテストデータセットとして、対数尤度比スコアを用いて評価し、短期予測における検証を行った。中長期的な性能を検討するために、数種類の時空間ポアソンモデルとHIST-ETASモデルのバックグラウンド地震発生率を比較した。その結果、第一に、M4.0からM5.0までの地震に対して、HIST-ETASモデルが最も良い短期予測結果を示したが、より大きな地震に対しては、性能を評価するのに十分な最近の地震データが欠けていることが判明した。次に,中期予測では,最適空間不均一ポアソン震度モデルがHIST-ETASモデルの地震背景震度よりも良い予測性能を示し,日本内陸全域均一率ポアソンモデルが最も悪い予測性能となった。M6以上の地震については、2つの方法で遡及的長期予測の性能を検証した。まず、1885年から現在までの全期間を2つに分け、最近30年間を予測期間とする遡及予測実験を行った。第二に、歴史的な被害地震データ(1500年~1884年)を、1885年から現在までの世紀のデータを用いて空間的に検証した。いずれの検証においても、HIST-ETASモデルの内陸背景地震活動の空間強度は、ベストフィットの非一様ポアソン空間モデルよりはるかに優れており、最良の結果を導くと判断された。本研究で得られた知見は、日本および世界の同様の場所での地域地震ハザード計画にとって重要である。

参考文献
  • Ogata, Y. (2022). Prediction and validation of short-to-long-term earthquake probabilities in inland Japan using the hierarchical space–time ETAS and space–time Poisson process models, Earth Planets Space, 74, 110, https://doi.org/10.1186/s40623-022-01669-4, (Published: 18 July 2022).
  • Ogata, Y., Katsura, K., Tanemura, M., Harte, D. and Zhuang, J. (2021). Hierarchical space-time point-process models (HIST-PPM): Software documentation and codes, Computer Science Monographs, The Institute of Statistical Mathematics, 35. doi: https://www.ism.ac.jp/editsec/csm/pdf/csm_035.pdf.

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